防爆エアコン
防爆エアコン

EXPLOSION PROOF AIR CONDITIONER
防爆エアコン

防爆エアコン
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防爆エアコン

可燃性のガスや液体を取り扱う事業所にとって、「防爆」への対応は最大で永遠の課題と言えます。
防爆とは、可燃性のガス・蒸気・粉じんなどが存在する場所で、電子機器などが点火源となり火災や爆発が起きることを防止する技術的な対策のことです。

可燃性のガスや蒸気などの物質が空気と混ざり合うと燃発性のガスになり、電子機器から発生する火花やアーク(気体放電現象)、高温度の物体等の点火源に触れると火災や爆発が起きる可能性が大きくなります。

このような火災や爆発が起きる可能性のある場所を危険場所と呼びます。

Point当然ながら相当なコストを覚悟しなければなりませんが、田崎設備はこの悩みを解消する方法を考案し普及する取り組みを進めています。
一般に使われているエアコンを活用するため、リーズナブルに設置できるのが大きな特徴です。

その方法は外気を100%取り入れる仕組みをつくり、外部のエアコンと室内との間に防火ダンパーを設けるというものです。
防火ダンパーは万が一火花が起きた時、ヒューズが飛んでシャットアウトする構造になっています。
この場合エアコンは必ず外部に設置することが条件です。
室内を冷却するエアコンではありますが、そのエアコンを選ぶことによって低コストで防爆の仕様にすることができるわけです。

ただし、こうした方式を行うためには倉庫の中で取り扱う物を含めて消防署との十分な事前協議が必要です。
田崎設備では危険物倉庫に関して4年間で22件の実績があり、消防署と事前協議を行い、意見を聞きながら取りまとめてきました。
(2023年1月現在)

田崎設備はエアコン機器の選定、設置、メンテナンスなどはもちろん、消防署との事前協議への支援までトータルで行っています。

お客様の状況はさまざまに異なり取り扱う危険物にも違いが出てくるため、田崎設備は多様な選択肢を用意しご提案しています。
工夫次第でかなり解消できる場合があるため、ぜひ一度ご相談ください。

1.防爆対応の基礎知識(危険物製造所、危険物貯蔵庫の空調導入のための)

危険物を製造もしくは貯蔵保管する場所は消防法第三章第十条にて1種危険場所又は2種危険場所と規定され、安全性を確保する構造が求められます。
それぞれ耐圧防又は安全増防爆の対策が施された電気設備が義務付けられています。

危険場所の種類防爆の構造特徴使用できる場所
0種危険場所本質安全防爆極めて高い防爆性能タンク内センサー、表示灯
1種危険場所耐圧防爆通常の状態で危険危険物製造所・貯蔵庫
2種危険場所安全増防爆異常の状態で危険
解説1種又は2種の判断は危険物により判断されます(特殊引火物・第一石油類は概ね耐圧防爆)

2.危険物の分類

第1類酸化性固体それ自体は燃えない
第2類可燃性固体よく燃える、比較的低温(40℃)でも引火鉄粉、金属粉、マグネシウム
第3類自然発火性物質自然に発火、水に反応カリウム、ナトリウム、アルミニウム
第4類引火性液体よく燃える特殊引火物ジエチルアルコール、二硫化炭素
第1石油類21℃未満ガソリン、アセトン、アルコール類
第2石油類21℃~70℃未満灯油、軽油
第3石油類70℃~200℃未満重油
第4石油類200℃~250℃未満ギアー油
第5類自己反応性物質加熱分解などで反応して燃える有機過酸化物、硝酸エステル類、
ニトロ化合物、ヒドロキシルアミン
第6類酸化性固体それ自体は燃えない過酸化水素、硝酸

(可燃性液体の引火点、発火温度)

ガス蒸気の名称引火点発火温度
二硫化炭素ー30℃90℃
アセトンー20℃465℃
ガソリンー43℃257℃
エタノール13℃363℃
クロロベンゼン29℃593℃

引火点が低いものほどその蒸気が生じやすく、爆発の雰囲気を生成しやすいのです。

3.製造所の基準

(区分)
原料(危険物) 作業工程  製品(非危険物)  一般取扱所
原料(危険物) 作業工程  製品(危険物)  危険物製造所

(保有空地)

保有空地とは、万一火災が発生した場合でも周辺の建物や木々などに火が燃え移らないよう確保しておかなければならない空地のことを指します。
また、消防隊などがスムーズに消火活動を行えるようにするための空地も保有空地と呼ばれます。

指定数量の倍数が10以下3m以上
指定数量の倍数が10を超える5m以上

◆1 他の製造所・貯蔵庫と隣接して設置する場合、その相互間の保有空地は大きい方の幅の空地とします。
◆2 防火区画となる障壁で区画された場合、保有空地なしで工場等を設置することができます。

解説空調機を設置する場合、空調機の寸法分だけ保有空地を広げる必要があります。
ダクトや配管などの付帯工事については貯蔵庫の一部として、保有空地を広げずに認められることが多いです。

(換気設備)

室内の空気を入れ換える設備(強制排気)で、換気口は屋根上に設けることが望ましいとされています。
また、換気ダクトを貫通するダクトに防火ダンパーを設置することと定められています。
換気回数の規定はありません。

(自動強制排出設備)

可燃性の蒸気又は可燃性の微粉が滞留するおそれのある場合、屋外の高所の強制的に排出する設備を設けることが定められています。
また可燃性微粉は集塵装置を設ける必要があります。
換気回数の規定はありません。(消防署により意見が分かれます)

◆3 可燃性とは、
①引火点が40℃未満
②引火点以上の温度にある危険物を大気にさらす状態で取り扱っているもの
③可燃性微粉を大気にさらす状態で取り扱っているもの
のいずれかを指します。

解説換気設備と自動強制排出設備の大きな違いは
①換気設備が自然排気が認めらえるのに対し、自動強制排出設備が強制排気であること、
②換気設備は高い所(天井面近く)の換気を目的としているが、自然強制排出設備は建物内部で可燃性蒸気や微粉が滞留することを考慮し
漏れた危険物を一時的に溜める桝(貯留設備)の上部10~20㎝よりダクト吸引し屋根上に放出すること
です。

(可燃性粉じんの発火度と危険性)

粉じんの名称発火温度(堆積粉)発火温度(雲上)危険性分類爆発下限濃度種類
アルミニウム320℃590℃爆燃性37~50金属
マグネシウム340℃470℃爆燃性44~59金属
カーボンブラック535℃690℃可燃性36~45金属
240℃430℃可燃性153~204金属
ポリスチロール溶融475℃可燃性27~37樹脂
ポリウレタン溶融425℃可燃性46~63樹脂
硬化ゴム溶融360℃可燃性36~49ゴム
小麦炭化410℃可燃性農産物
ココア245℃245℃可燃性農産物
木綿繊維385℃385℃可燃性炭素系

(危険物施設の断熱性能と空調選定)

これまで危険物施設は空調による温度管理がされてこなかったため、多くの建築物が断熱されていません。
そのため空調による温度管理を計画する場合、危険物施設の建築仕様の見直しから検討する必要があります。
危険物施設は不燃材料にて建設されているため、断熱する場合も不燃材料を使う必要があります。

夏(外気温35℃)冬(外気温0.2℃)適用する空調システム
断熱がない室温29℃~32℃室温10℃~12℃外気導入エアコン
簡易断熱※1室温27℃~30℃室温12℃~15℃外気導入エアコン
本格的断熱※2室温24℃~27℃室温15℃~18℃外気導入エアコン
本格的断熱室温18℃~22℃室温18℃~24℃外気導入エアコン2段(高段➡低段)
本格的断熱室温13℃~17℃室温13℃~17℃外気導入エアコン2段(高段➡低段)
本格的断熱室温3℃~6℃室温3℃~6℃冷凍機+防爆クーラー

※1簡易断熱 壁:グラスウール+石膏ボード貼、天井:LGS下地+石膏ボード貼
※2本格的断熱 壁・天井:不燃断熱パネル40㎜、天井のみ:防爆点検扉

(危険物施設建設の法的根拠)

【建築物の構造】危政令第9条第1項第5号
危険物を取り扱う建築物は、壁、柱、床、はり及び階段を不燃材料で造るとともに、延焼のおそれのある外壁を出入口以外の開口部を有しない耐火構造の壁とすること。

【屋根】危政令第9条第1項第6号
危険物を取り扱う建築物は、屋根を不燃材料で造るとともに、金属板その他軽量な不燃材料でふくこと。

【防火設備】危政令第9条第1項第7号
危険物を取り扱う建築物の窓及び出入口には、防火設備を設けるとともに、延焼のおそれのある外壁に設ける出入口には、随時開けることができる自動閉鎖の特定防火設備を設けること。

【自動強制排出設備】危政令第9条第1項第11号
可燃性の蒸気又は可燃性の微粉が滞留するおそれのある建築物には、その蒸気又は微粉を屋外の高所に排出する設備を設けること。

【電気設備】危政令第9条第1項第17号
電気設備は、電気工作物に係る法令の規定によること。
※電気事業法の基づく電気設備に関する技術基準を定める省令で、危険箇所に設置する電気機器の防爆構造の適合基準を表記している。

(危険物施設の空調の選定基準について)




危険物施設内を空調したい場合、以下の内容について決める必要があります。

①温度管理について
まず、夏場だけ空調したいのか、一年を通して一定の温度で管理したいのかを決めます。

②空調の設計条件について
次に空調の設計条件を決めます。
たとえば30℃以下にしたいのか、27℃±2℃を希望するのかによっても空調システム自体が変わります。
さらに湿度の条件も加わると加湿の設備も必要になり、制御が複雑になっていきます。

③温湿度帯、建屋の使用、周辺建屋の条件について
20℃以下での空調は製品や原材料に対する空調となるため、温度湿度の希望する幅や建屋の仕様、周辺建屋の条件など配慮する範囲が広がります。
特に冷凍の温度帯(0℃~−20℃)は冷却器(クーラー)に発生する霜や氷を除霜する際にヒーター除霜方式や散水除霜方式が採用できないため、
ホットガス除霜方式が必須となります。

④外気の取入れについて
危険物施設には原則として24時間強制排気設備の設置が義務付けられていますが、最低でも排気した分の外気を取入れる必要があります。
室内温度と取入れる外気の温度差が6℃以上あると外気取入れ口に結露が発生します。
結露は温度差が大きいほどひどくなり、建屋室内側の結露や着氷を招きます。
特に冷凍の場合は冷蔵室を前室にしてその空気を冷凍室に供給するなど、結露を防ぐ工夫が必要です。

いずれにしても消防法には空調管理に関する規制がないため、所轄の消防署との協議を重ねながら設計仕様を決めていく必要があります。

(換気回数について)

消防法では24時間強制排出設備の設置が義務付けられていますが、換気回数に関する規制はありません。

換気回数については京都市消防局が公表している危険物審査基準の別記1「換気設備及び可燃性蒸気等の排出設備の設置基準」の換気設備(3) に
「換気能力は、1時間当たりおおむね5回以上であること。」とあり、全国的にこの基準が各消防署の判断の指標になっています。
(参考:京都市消防局HPより『危険物審査基準 別記1(換気設備及び可燃性蒸気等の排出設備の設置基準)』
https://www.city.kyoto.lg.jp/shobo/cmsfiles/contents/0000236/236076/31-bekki1.pdf

とはいえ、1時間当たりの換気回数がなぜ5回以上必要なのかはどこにも根拠が見当たりません。

危険物を扱う施設では、引火性の液体が揮発し室内の濃度が一定以上になると爆発する可能性が高くなることから24時間強制排気が義務付けられていますが、第三種換気(給気:自然、排気:強制)のため排気口や給気口の場所によっては排気しづらい場所(淀み)ができる可能性があります。

それに比べて外気導入空調により空調された空気を給気する場合は、第一種換気(給気:強制、排気:強制)により室内の空気の流れをコントロール
できるため、換気回数を1時間に5回以上確保せずとも、1時間に2~3回で十分に可燃性の蒸気を排出することができます。

危険物施設を空調コントロールするためには給排気の風量のバランスを考慮する必要があります。
大きな施設(30坪以上)の場合、排気風量を大きくするとその分だけ給気風量を確保する必要がありそれに伴って空調機も大きくなります。

そこで、換気回数を決めるための事前協議がもっとも重要であり、根拠に基づいた打ち合わせの準備が必要になるのです。

(防爆電気機器の耐用年月)

防爆構造の種類適正交換時期耐用の限度
耐圧防爆構造15年20年
安全増防爆構造10年15年

(着火源の発生条件による電気機器の区分)

正常状態で着火源三相巻線型誘導電動機、電気ヒーター、直流電動機、リレー
異常状態で着火源三相かご型誘導電動機、乾式変圧器
正常状態、異常状態どちらも検出器、測定器、通信機器
正常状態、異常状態においてならないデジタル腕時計、補聴器

4.防爆エアコンのよくある質問

危険物貯蔵庫(製造所)を空調するために必要な情報は何ですか。

教えていただきたい情報は以下の通りです。
◆1.対象となる危険物貯蔵庫(製造所)の大きさ
◆2.保管する危険物の名称と保管状態
◆3.空調の設計条件(夏と冬の条件)
◆4.保有空地がわかる図面(配置図)

無料でお願いできる範囲を教えてください。

オンライン面談及び概算見積は無料です。
設計、現場調査及び詳細見積、消防署事前協議は有料となります。

どのような空調システムになりますか。

大きく分けて、室内の空気を循環させながら空調する方法(循環空調)循環させず外気を空調して吹き流す方法(オールフレッシュ)の2種類に分けられます。

前者の循環空調の方がより精密な空調管理が可能で一般的に採用する空調システムですが、冷却したり加温したりするための熱源が別途必要となるためイニシャルコストがかかるという欠点があります。

後者のオールフレッシュ方式はエアコンのヒートポンプによる冷却加温を使って空調する方式です。
厳密な管理には不向きで空調の条件にも限界がありますが、イニシャルコストが下がると共にランニングコスト(電気代)が低くなるのが長所です。

田崎設備が提供する空調システムの特徴を教えてください。

ご希望の空調設計条件を確認し、可能であればオールフレッシュ方式によるシステムを提案しています。

貯蔵庫の場合、
作業せずに無人での保管が多く消防法に基づく24時間換気が設置されていれば基準をクリアできるため、夏場の対策として30℃以下での管理(冬場は成り行き)が一般的であり、もっともローコストで空調システムが提供できます。
よりシビアな空調条件にも対応可能です。

製造所の場合、
製造所は
①作業員が室内で作業している、
②危険物が露出し作業により粉じんが飛散したり可燃蒸気が揮発する可能性が高い、
などの貯蔵庫にはない特徴があります。
そのため局所排気装置の設置が必須となる作業所もあり、排気と給気のバランスを取りながら空調システムを組む必要があります。
その場合、生産体制や使用している危険物や有機溶剤を踏まえながら設計積算します。

お客様のご要望内容によっては所轄消防署との事前協議が必要となります。
消防法に空調設備に対する規制や記述がなく、消防署によって異なる見解が提示される場合があります。
田崎設備では危険物施設の空調に対する知見があるため、過去に施工した事例を紹介しながら過剰な設備とならないようにご提案いたします。

提供できる場所はどこですか。

沖縄県や離島を除く日本全国に提供しています。

5.防爆エアコン導入の流れ

すでに危険物製造所、危険物貯蔵庫がある場合

  • 1診断
    現状を確認して、下記の情報を教えてください。
    (必要に応じ守秘義務契約書にサインいたしますのでご用意ください。)
    ①危険物貯蔵庫(製造所)の体積(幅×奥行き×高さ)
    ②取り扱う危険物の名称と量、SDS(安全データシート)
    ③平面図、立面図、配置図(保有空地がわかる図面)
    ④建物の仕様書(建物の構造がわかる書類)
    ⑤室内の空調条件
     夏の室温・相対湿度・外気温
     冬の室温・相対湿度・外気温
  • 2ヒアリング
    上記の現状について電話でヒアリングをいたします。
    これにより最適な空調システムの選定と提案をいたします。
  • 3概算見積の作成
    いただいた情報と資料に基づき、プラン図と見積書を作成いたします。
  • 4ご訪問、現場調査
    空調機の配置や作業環境の確認、見積区分の打ち合わせをいたします。
  • 5正見積書・設計図の提出
  • 6消防署との事前協議①
    空調プラン図と設計図をもとに消防署に説明します。
    (弊社同行をご希望される場合、別途費用がかかります)
  • 7発注
    支払条件を確認し、発注書を作成いただきます。
  • 8消防署提出用の資料提出
  • 9消防署との事前協議②
    (弊社同行をご希望される場合、別途費用がかかります)
    変更書を提出し、工事の承諾をもらいます。
  • 10工程表、施工図の提出と打ち合わせ
  • 11施工
  • 12完成試運転・引き渡し
  • 13消防署の完成検査
  • 14ご請求・お支払い

6.防爆エアコン導入の流れ

新たに危険物製造所・危険物貯蔵庫を作る場合

  • 1ご訪問、現場調査
    危険物の種類と取り扱う数量、新築場所を決めます。
    消防法による施工基準が種類と量で変わり、計画の時点で室内温度や湿度も検討します。
  • 2消防署との事前協議①
    基本設計図(配置図、平面図、立面図)をもとに消防署との事前協議を行います。
  • 3ヒアリング
    温湿度管理する場所の設計条件を検討し、空調システムと強制排気の風量を決めます。
  • 4基本設計と積算見積
    空調の基本設計と積算見積を提出いたします。
  • 5発注
    支払条件を確認し、発注書を作成いただきます。
  • 6消防署提出用の資料提出
  • 7消防署との事前協議②
    (弊社同行をご希望される場合、別途費用がかかります)
    変更書を提出し、工事の承諾をもらいます。
  • 8工程表、施工図の提出と打ち合わせ
  • 9施工
  • 10完成試運転・引き渡し
  • 11消防署の完成検査
  • 12ご請求・お支払い

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