茨城県古河市で運送業・倉庫業を営むお客様より、危険物倉庫の新設に伴う空調設備工事のご依頼がありました。
扱う商品が動物用のワクチンに類するものということで、1年を通して庫内温度を30℃以下に管理したいというご要望があり以下のご提案をさせていただきました。
提案
倉庫に隣接する空調機械室にメイン機となる外気導入エアコンを4台、外気高温時用およびバックアップ用空調機を2台設置し、以下2点のご提案をさせていただきました。
①外気温33℃以上の時は空調機械室を冷やしメイン機の吸込み温度を下げ、負担が軽くなるように工夫。
②メイン機故障時はダクト内のダンパ操作にてバックアップ機の空気を倉庫内に送ることができるようにする。
施工内容
今回の施工ではメイン機としての4台の外気導入エアコンは2台一組にして空調機械室内の倉庫側の壁面に設置し、そこから倉庫内の反対側の壁に向けてダクトを伸ばすように取付けました。ダクトの末端まで風が届くように圧損計算をし、空調機の静圧以上に圧損が大きくならないようにダクトの選定を行いました。
また、2本のダクトはそれぞれ下方と外側に向けて吹出口を設け、4本すべて合わせると32個あります。
倉庫内に淀み・偏りなく空気が届くよう一定間隔で吹出口を設置し、吹出風量が均一になるように調整しました。
倉庫内ダクト工事(写真奥が空調整備室)
この倉庫は日本国内でも有数の最高気温(40℃)を記録する地域に建設され、温度管理が重要な商品を保管することになります。
少しでも既定の温度を超えてしまうと商品の品質を保証できなくなってしまうため、外気温33℃以上はバックアップ機で空調機械室を冷やしメイン機の吸込み温度を下げ負担が軽くなるようにしました。
さらに万が一に備えて外気導入エアコンを4台設置し、どれか1台が故障しても他の3台+バックアップ用空調機で倉庫内の空調を補えるよう配慮しました。
空調機械室施工後
室内機周辺施工後
ダンパ 番号開閉表示
各ダンパには常時「開」「閉」の表示を付け、番号を振って取扱説明書と連動させることでバックアップ時にどのダンパを操作するべきか明確にしました。
二次側電気工事風景
田崎設備ならではの工夫
屋外の室外機を架台の上に設置し室外機下部に冷媒配管と電気配管のスペースを設けるとともにケーブルラックを設置し、室外機の前に障害物なくメンテナンススペースを確保することができました。水濡れ等による管の劣化を防ぐ効果も期待できます。ケーブルラックの蓋に切れ込みを入れることで配管を無理なく繋ぐことができるよう工夫しました。
室外機下部からの接続によりスムーズに施工ができ、配管や保温材の劣化を防ぐ施工が実現できました。
室外機施工後
室外機 架台上設置風景
施工後、吹出口の風量を計測したところ外気温32℃の時は吹出温度20℃、各吹出口からの風量は5~6m/sでした。
この計測時は7月下旬だったため想定していた外気温には遠く、計算上はお客様の要望に沿った空調設備を設置しましたが正しく機能するかを確認するには至りませんでした。
お客様には「もし倉庫内温度が30℃を超えてしまった場合はご連絡ください」とお願いしていましたが一度もご連絡はなく、正常に機能しているという何よりの証明であると言えるでしょう。
引き渡し後、お客様からは「真夏日でも庫内温度が30度を超えることなく商品の保管ができています。ありがとうございます。」とのお言葉をいただきました。