粘着テープ類の製造業を営むお客様より、倉庫の新設に伴って防爆エリアの空調設備の導入と局所排気装置の設置をご依頼いただきました。
課題解決のご提案
今回のご依頼では以下のエリアが混在していました。
①一般空調エリア
②温度条件がある防爆エリア
そのため以下の内容をご提案させていただきました。
①一般空調エリアは部屋ごとに外気処理空調機（※1）で給気を行い、排風機で排気するように設計しました。
②防爆エリアでは粘着剤を生成・塗布する工程が行われており、有機溶剤を扱うことから局所排気装置の設置、外気処理空調機にて給気および温度調整を担うことができるようにしました。
また、電気工事の金額が高額にならないように複雑な制御は行わず、外気処理空調機と排風機の連動のみにしました。
操作はお客様がリモコン操作で行えるように設計しご提案させていただきました。
（※1）外気処理空調機 とは
外調機とも略され、外の空気を取り入れて風量や湿度を調整し室内に届ける機器のことです。
なお空調機は室内環境の温度や湿度、空気の清浄度などを管理して調整する設備を指し、仕組みは似ていますが用途が異なります。
施工内容
①一般空調エリア、②温度条件がある防爆エリア（共通）
・空調機器、送風機、盤関係の据付工事
・冷媒配管・ドレン配管工事
・ダクト工事
・断熱工事
・電気計装工事
・圧縮空気配管工事
②温度条件がある防爆エリア
・フィルターユニット（※2）吊り込み
・局所排気装置の導入
（※2）フィルターユニットとは
フィルターと送風機が内蔵一体化されており電源を接続するだけで清浄な空気を供給することができる装置のことです。
今回はフィルターユニットの設置スペースと外気処理空調機の吸込み側のダクトスペースが確保できないため、元々は床置き用のフィルターユニット（約480kg）を建屋の鉄骨に吊って固定しました。（写真1）
また、外気処理空調機には建屋内の空気を吸い込ませるシステムにすることで建屋内が陰圧（室内の気圧を室外よりも低くすること）になり、既存の有圧扇を撤去した後の開口にフィルター付ウェザーカバーを取り付けて建屋給気口にしました。
外部には冷媒ラックを設置し、冷媒ラックおよび内外渡り線、電源線をまとめることですっきりとシンプルに仕上げました。
施工風景写真
＜フィルター吊り込み＞（写真1）
＜床置空調機＞
＜外気処理空調機（作業途中）＞（※1）
＜室外機設置状況＞
＜室外機廻り冷媒ラック＞
＜一次側電気工事配線＞
＜一次側電気工事埋設配管作業中＞
＜パネル上電線ラック＞
局所排気装置
粘着剤を生成する過程で有機溶剤を使用されており、そのエリアに以下の局所排気装置を追加でご依頼いただきました。
①200Lタンク用重量計用フード
②卓上計量、洗浄台車用フード
①200Lタンク用重量計用フード
粉体の計量を行う際に粉じんを吸い込まないように開口面を上部に設けたフードを設置しました。
フードの前面はキャスター付きのタンクを押したまま入れられるように上へスライドして外せるようにし、フード内に重量計を設置して量り終わったら移動できるよう作業のしやすさにも配慮しました。
②卓上計量、洗浄台車用フード
既存のステンレス製シンクの中に溶剤を入れその中で部品洗浄を行う工程で、新たにフードを製作し設置しました。
フードは上部と四方を透明シートにすることで十分な明るさを確保し、室内の照明でも使用可能であることからフード内に照明を入れずにすむよう設計しました。
また、安価な透明シートを使用することで汚れても交換にかかる費用を下げることができ、既存の設備の改造だけを行うためフードの製作費を抑えることができました。
施工時に気を使った点、工夫した点
・フィルターユニットの重量があるため、支持金物も重量物用の部品を使用し安全に配慮して施工を行いました。
・室外機のパネルの開閉がスムーズに行えるように冷媒ラックの高さに合わせて室外機用の鉄骨架台を製作・設置し、その架台の上に室外機を設置しました。
また上記ラックから各所に配線を流したため、パネル上の配線をすっきりさせることができました。
＜鉄骨架台と配線＞
施工後のお客様の声
お客様からは、
『パネルの上がここまで綺麗に施工されているのは初めて見ました。外気処理空調機を使用した空調システムの良さを実感したため、別の建屋や工場でも導入を検討したいと考えています。
また、最初の注文に加えて一次側電気工事や局所排気装置まで幅広く対応していただけて本当に助かりました。ありがとうございました。』
とのお言葉をいただきました。
元請会社の担当者インタビュー
今回は元請会社の担当者にもインタビューをさせていただく事ができました。
Q.なぜ田崎設備を選んでいただけたのですか？
A.局所排気装置や防爆クリーンルームの経験が豊富な会社を探していて、実績のある田崎設備さんにお声がけさせていただきました。
実は以前に別の現場でご一緒したことがあるのですが、その時から社員の人柄の良さや関係会社との信頼関係の良好さを感じていました。
ただ、最初はどこまで出来るのか疑問でした。初対面ではどんな仕事をしているか分からなかったからです。
一緒に仕事をしていくうちに「詳しいですね」「（関連する知識を持っているから）やりやすいです」と声をかけていただき、その技術を間近で目にして信頼できる会社だと感じました。
その技術力と人間性、また全体的に社員が若く長期的なお付き合いができるという点が決め手になりました。
Q.社員の仕事の様子はどうでしたか？
A.一言で言うと素晴らしかったです。
局所排気や防爆エアコンの知識や技術だけでなく、消防署や労働基準監督署への申請等まですべて対応していただいて本当に助かりました。
また、社員だけでなく関係業者の方も自分の仕事が終わったら他にできる事はないかと声をかけ合って作業されていたのがとても印象的でした。
身だしなみやマナーに関してもしっかりされていて、親方となる社員がきちんとしていたから職人さんに至るまで全体的に統一されていたように感じます。
