栃木県鹿沼市でメッキ装置製造業を営むお客様より、以下のご相談がありました。
・顧客の要望に沿った品の試作品を作成する際に硫酸や苛性ソーダなどの廃液が出るのだが、製造の過程で出る廃液量が当初より少なくなった。
廃液処理施設のランニングコスト等を考慮した結果、廃液タンクを設けて処分業者引取に変更したいという結論になった。
・また、洗浄に用いる純水装置の更新については使用量を確保するためのタンクおよび配管の更新など複合的な設備になるため、実績のある田崎設備に依頼したい。
・なお、純水装置の電気伝導率は3μS/cm以下でお願いしたい。
純水について
水は元々『ものを溶かす力』が強いという性質を持っています。
無色透明な水にも色々な成分が溶け込んでおり、例えば水道水を50mプールいっぱいに入れた場合、その中にはドラム缶数本分の不純物が溶けています。不純物を除去した純水や超純水ではさらにその力が強くなります。
超純水とは、水の浄化に関する要素技術を組み合わせて河川水や工業用水などの水を限りなくH2Oに近付けた高純度な水のことです。
水に含まれる金属イオンや微生物などの不純物をほとんど含まない、純度100%の理論的に水に限りなく近い高純度の純水のことを指します。
純水とは「不純物が少なく純度の高い水」のことです。主に塩類や有機物などがほとんどすべて除去された状態を指し、不純物を取り除く方法により脱塩水(イオン交換樹脂などにより塩類を除去した水)、RO水(逆浸透膜を通した水)、蒸留水(水蒸気を冷やして液体にした水)などと呼ばれます。
超純水や純水は食品工業における有害物質の除去や、めっきや塗装などの前に行う表面洗浄、悪臭成分の洗浄除去、繊維製品の風合いの改良など身の回りの様々な場面で使われています。
水中に含まれる不純物の量を測定する方法の一つが電気伝導率です。
不純物が極めて少ないと電気伝導率は非常に小さくなります。各種の水の電気伝導率は以下のとおりです。
(参考)
『98 超純水』(公益社団法人 日本冷凍空調学会ホームページ)
(https://www.jsrae.or.jp/annai/yougo/98.html#:~:text=%E6%B0%B4%E3%81%AE%E5%88%86%E5%AD%90%E8%87%AA%E4%BD%93%E3%81%8C,%E4%BD%93%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%82%82%E3%81%84%E3%81%88%E3%82%8B%EF%BC%8E)
施工内容
廃液系統5㎥タンク8基、1㎥タンク3基、0.5㎥タンク1基、送水ポンプ4台新設
純水系統5㎥タンク2基、送水ポンプ、純水器(オルガノ製)2台、殺菌装置更新
施工風景写真
<廃液タンク 上部>
廃液タンクの上部には回収業者が廃液の回収(リリース)や点検をしやすくするためにタンクの形状に合わせたステージを設けました。
<純水タンク>
給水タンクは長期間使用しない場合に底面まで全て排出できる『完全液出しタイプ』を選定しました。
施工時に気を使った点、工夫した点
アルカリや酸など廃液の種類によっては耐食性のある機器を選定し、また汚物も多少混入するためレベルセンサーの誤作動防止として電極棒にヘドロなどが絡まないような工夫を行いました。
廃液タンク満液の表示を3カ所設け、各セクションにて確認できるようにしました。
純水装置の制御盤は文字を見やすくしました。
施工後のデータ
純水電気伝導率 0.06μS/cm
お客様のご要望は3μS/cm以下だったため、十分な結果を出すことができました。
施工後のお客様の声
お客様からは『廃液処理の手間とランニングコストが削減できました。また表示やブザーにて運用がしやすくなり、とても助かっています。
ありがとうございます。』とのお言葉を頂きました。