水産加工品や農産加工品の製造・販売を行うお客様より、農林水産省の補助金を活用して工場を陽圧化したいとご相談がありました。
お客様がお困りの内容は以下の3点です。
①工場内を陽圧化したい
②工場内に残っているにおいをなくしたい
③空調機が3年でガス漏れを起こしてしまっているため、陽圧化させ冷媒管を腐食させる気体を排気し空調機が何年持つのかを知りたい
補助金について
今回お客様が利用された補助金は、農林水産省が推進する日本の農林水産物の輸出プロジェクト(略称はGFP(Global Farmers / Fisherman / Foresters / Food Manufacturers Project))のひとつである「食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備事業(HACCPハード事業)」です。
これは農林水産物・食品の輸出拡大に向けた施設や設備の整備を支援する目的で行われており、施設整備事業と効果促進事業の2つに大別できます。
施設整備事業とは①施設の新築、②施設の改築・修繕、③機器の導入を指し、効果促進事業とはコンサルや認証取得等に必要な費用を支援するというものです。
交付額は250万円~5億円で、交付率は輸出向けHACCP等の認定・認証を取得する場合は1/2、それ以外の場合は1/3となります。
内容の詳細については農林水産省のホームページをご参照ください。
(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/gfp/haccp.html)
HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)とは、原材料の受入から最終製品までの各工程ごとに、微生物による汚染、金属の混入などの潜在的な危害の予測(HA:危害要因分析)に基づいて、危害の発生防止につながる特に重要な工程(CCP:重要管理点)を継続的に監視・記録する「工程管理システム」をいいます。
分かりやすく言うと「食品の衛生・品質を管理するシステム」ですが、平成30年6月13日に改正食品衛生法が交付され、HACCPに沿った衛生管理が令和3年6月に完全義務化されました。
食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備緊急対策事業は、画期的補助金HACCPハード事業とも呼ばれ、農林水産省が担当する補助金になります。
この補助金は、日本の農林水産物や食品の輸出を拡大するために、その前提となる外国が要求する安全基準をみたすような施設・設備の整備の補助として交付されます。
防虫対策や異物混入対策としての施設の新築、増築、改築修繕、機器の導入が対象ですが排水溝の整備や温度管理設備の設置、パーテーションの設置、床や壁の塗装も対象となります。
より詳細なHACCPの情報に関しては農林水産省のホームページをご参照ください。
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/index.html)
「食品製造事業者・食品流通事業者・中間加工事業者等の方が対象」でありお客様も該当するということで、田崎設備も図面や仕様書を作成するなど補助金申請のお手伝いをさせていただき施工を行いました。
◆施工のポイント
・陽圧化工事
陽圧化工事について、既存の空調システムが工場の生産ラインと重なっており工場が停止している土日にしか工事を行えませんでした。
そこで打ち合わせの際に調整を行い、工事期間中は生産ラインの一部を間借りし、壁をつくり工事対象区域を間仕切りしたことにより平日でもダクト工事・ダクト保温を行えるだけでなく防虫対策にも配慮して施工を行いました。
・ガス漏れ対策
排気用のシロッコファンは設置されていましたが腐食しており、外気処理による虫の混入を防ぐために使用されていませんでした。
この工場では加工の際に酢酸を使用しているため、3年に1回程度ガス漏れが発生していました。
原因としてはこの工場では食品加工時に酢酸を使用しており、空気が排気されず滞留していたため飛散している酸を空調機が吸い込んでしまいガス漏れが起こっていました。
そこで新たにシロッコファンを設置し排気することで解消しました。
外気処理空調機
フィルターボックス
施工後、お客様からは「滞留していたにおいがなくなりました。今後、設置してもらった空調機が長持ちすることを期待します。」とのお言葉をいただきました。
田崎設備では補助金を活用した施工に関してのご相談も受け付けております。
農林水産省だけでなく国土交通省、経済産業省等でも補助金制度はありますので、お悩みの際はぜひご相談ください。