茨城県で電子部品の製造業を営むお客様より、以下のご依頼がありました。

・材料をアルコールに浸す工程があり、浸した後にトレイに置いて棚に並べ扇風機で乾燥させていたが揮発したアルコールの強い臭いに悩まされている。
労働基準監督署からも指摘があったため、局所排気装置を導入したい。

田崎設備から課題解決の提案

今回のお客様が使用しているアルコールはメチルアルコールエチルアルコールでした。
これらは有機溶剤であり、危険物でもあるため消防法や労働安全衛生法に準拠して設計施工する必要があります。

そこで乾燥の工程で局所排気装置の導入を始め、以下のご提案をさせていただきました。
①局所排気装置の設計と設置する建屋の増設
②上記建屋へ送る空気の温度を整える機械室の増設

<イメージ図>


施工内容

・局所排気装置の設計・施工
 (アルミフレームの加工、アクリル板の加工、扉の動作チェック)
・建屋の新設

①局所排気装置の設計と設置する建屋の増設について

まず①の局所排気装置について、お客様からはアルコールに浸した後はしばらく乾燥させるため保管庫も兼ねられるような仕様にしたいとお話がありました。
そこで風量を抑えつつ保管乾燥庫として兼務できる囲い式フードを設計いたしました。

囲い式フードとは

囲い式フードは、発散源を囲い開口面に吸い込み気流を与えることによって有害物質がフード外へ流出することを防ぐことができ、化学物質へのばく露を減らすことができます。
また、囲い式フードは外付け式フードと比べて外乱気流による影響を受けにくく、小さい排風量でよい効果が得られる最も効果的なフードです。

参考:厚生労働省『職場の安全を応援する情報発信サイト職場のあんぜんサイト』より
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/pdf/taisaku/common_Ventilating.pdf

<局所排気装置 全体図>




<局所排気装置 解説>


赤枠作業スペース(アルコールに浸す工程)
・扉の開閉には形状記憶の板バネを使用し、作業中は巻き上げた状態、使用しない時は作業台下部に取り付けたマグネットで止められるよう設計(写真は巻き上げた状態)。
・上部や側面に透明なアクリル板を使用することで室内の明かりを取り入れることができ、フード内に照明を設置することなく明るさを確保できるようにした。
同時に照明の設置を必要としないためコストカットにも繋げることができた。



黄枠保管スペース(アルコールに浸した金属を乾燥・保管しておく場所)
・棚の内部に金属を置き、背面に設置したパンチングから揮発した有機溶剤を吸気
・折戸扉を採用することで扉を開けた時に邪魔になりにくい
・扉の上半分をガラス、下半分をパンチングにすることで中に入っているかどうかが一目で分かる
・パンチングの高さは保管する金属の高さに合わせてあり、揮発した有害物質を無駄なく給気できる



<作業スペース 扉が閉じた状態>


<比較>




<扉部分 拡大図>



②上記建屋へ送る空気の温度を整える機械室の増設について

次に②の空気の温度を整える部屋の増設についてご説明します。
①のすぐ隣に外気導入エアコンと電気ヒーターを設置した小さな機械室を新設しました。
外気を電気ヒーターで温め、外気導入エアコンで温度を整えてから防火ダンパーを取り付けたダクトを通って局所排気装置のある部屋へと送り込みます。

この時、風量の大きさが『外気導入エアコン>局所排気装置』になるようにしました。
こうする事で局所排気装置のある部屋が陽圧になるため室内の温湿度が安定して運用できました。



また、電気ヒーターを取り付けるメリットとしては以下の2点が挙げられます。
1.外気温が0℃を下回った時、外気導入エアコンの給気温度を上げる

2.室外機のデフロスト(霜取り運転)中に吹出空気の温度を高める
室外機は外気温が5℃以下になると着霜します。
その霜を溶かすために一時的に暖房を止めるデフロスト(霜取り運転)中は吹出空気の温度が下がってしまいます。(ホットキープ機能)
その温度を一定に保つために電気ヒーターが活躍するのです。

施工風景写真

<新設機械室 外観>



中央奥:①局所排気装置のある部屋
手前左:②電気ヒーターと空調用エアコンのある機械室



<①と②を繋ぐダクトと防火ダンパー>




<②機械室内部 左:電気ヒーター、右:外気導入エアコン>




<②機械室外>


施工後のお客様の声

お客様からは『アルコールの臭いがなくなり、作業環境が改善されました。
本当にありがとうございました』
とのお言葉をいただきました。