春先から初夏にかけて、空調機は暖房運転から冷房・除湿運転へと切り替わる時期を迎えます。
このタイミングで増えるトラブルのひとつが「室内機からの水漏れ」です。
実はこの水漏れ、多くの場合「ドレンパンの詰まり」が原因となっています。
ドレンパンとは?水漏れが起こる仕組み
空調機は冷房・除湿運転時に、内部の熱交換器に結露水が発生します。
この水を受け止めるのが「ドレンパン」と呼ばれる受け皿です。
ドレンパンに溜まった水は、ドレンホースを通じて屋外へ排出される仕組みになっています。
しかしこの結露水には、空気中のホコリや花粉、微細な汚れなどが混ざり込みます。
さらにバクテリアの影響を受けることで、時間の経過とともにゼラチン状の汚れへと変化します。
この汚れが排水口や配管内に蓄積すると、
・排水経路の詰まり
・ドレンパンからの水のあふれ
といった現象が発生し、水漏れにつながります。
最も多い原因のひとつは「フロートスイッチの不具合」
ドレンパンには、水位を検知する「フロートスイッチ」という部品が取り付けられています。
水位が上がるとスイッチが作動し、排水ポンプを動かす重要な役割を担っています。
しかし、
・汚れの付着
・経年劣化
などによりフロートが固着してしまうと、水が溜まっていてもポンプが作動せず、結果として水があふれてしまいます。
室内機の水漏れトラブルの中でも、特に多い原因のひとつです。
排水ポンプが動作する仕組み
排水ポンプ(ドレンポンプ)が動作する原理は以下のとおりです。
1. 水が溜まる:空調機内部のドレンパンに水が溜まる。
2. 水位を検知:タンク内のフロートスイッチ(浮き)が上昇する。
3. ポンプ作動:フロートが一定水位に達するとスイッチが入り、ドレンポンプが作動。
4. 強制排水(汲み上げ):水を上方へ送り出し、配管を通って外部へ排出する。
5. 停止:水位が下がるとフロートが下がり、ポンプが停止する。

フロートスイッチは浮きに電気接点を設けたものです。
電気が通電している状態が正常、電気が流れなくなると異常となります。
ドレンパンに水が溜まってくるとフロートスイッチが浮いてきます。
フロートスイッチが浮いた=排水がうまくできていない事になり、そのままにしているといずれはドレンパンの高さより水位が上昇し、やがて決壊して水漏れが発生してしまいます。
フロートスイッチは強制的に運転を止める保護装置と言えます。
排水ポンプ(ドレンポンプ)が開発・普及する前は?
排水ポンプ(ドレンポンプ)が開発・普及する以前は、室内機から発生する結露水(ドレン水)を排出するために物理的な制約が非常に大きい施工が一般的でした。

1. 排水方式:完全自然流下方式(勾配必須)
・勾配の確保:ドレン水を自然の重力で排水するため、ドレン配管には1/100~1/50以上の「下り勾配」をつけることが必須でした。
・天井高の制限:天井裏のスペースが狭い場合、天井を低く下げなければ配管勾配が取れず店舗やオフィスの設計に大きな制限がかかっていました。
・配置の制約:排水口(縦管)から遠い場所には室内機を設置できない、あるいは排水管の経路を確保するために複雑な隠蔽工事が必要でした。
2.施工の難易度
・隠蔽配管の困難さ:天井内、あるいは梁をまたぐような箇所への設置は極めて困難でした。
・結露トラブル:ドレン配管の断熱施工が不十分だと、天井裏で結露し、天井材に水シミやカビが発生するリスクが高かったのです。
3.ドレンポンプ登場の影響
ドレンポンプの普及により、水を強制的に汲み上げて高い位置の配管へ流す「ドレンアップ」が可能になり、以下のメリットが生まれました。
・天井内配管の自由度向上:勾配を気にせず配管が可能になり、天井裏が浅い建物でも設置が可能になった。
・設置場所の拡大:窓際から離れた場所や、壁際以外にも配置ができるようになった。
ドレン配管の詰まりにも注意
ドレンパンだけでなく、排水を行うドレン配管の継ぎ目や内部にも汚れは蓄積します。
これにより配管自体が閉塞し、排水不良から水漏れが発生するケースも少なくありません。
施工事例|実際にあった水漏れトラブル

『食品製造業のお客様より、空調機からの水漏れのご相談』
事務所内のエアコンから水漏れしているというご相談でした。ドレン配管の詰まりによる水漏れのため、洗浄にて対応いたしました。
暖房から冷房に切り替える時期に特に多く発生する事例です。その原因や対策についても紹介しています。


