特殊銅合金製品の製造・販売業のお客様より、以下のご相談がありました。
・銅製品をコーティングする工程でトルエンを使用しているが、労働基準監督署から作業環境の改善命令が出た。
・どのように対応したらいいか分からないため力を貸して欲しい。
お話を伺うと、銅製品の表面処理の際、カゴに製品を入れクレーンで吊り下げて溶剤(トルエン)の槽に浸す工程で有機溶剤を使用していました。
溶剤に浸した後は蓋を開けたまま乾燥させる工程があり、揮発したトルエンが作業場所に充満してしまうという状況でした。
備え付けの換気設備は有圧扇での全体換気のみで能力が不足しており、作業者の健康被害を防ぐために局所排気装置を導入したいとご相談いただきました。
課題解決のご提案
今回は作業場のスペースが限られており、正常な風向きが作れるプッシュプル型換気装置をご提案しました。
プッシュプル型換気装置とは
プッシュプル型換気装置とは、有害物質の発生源を挟んで吹き出し用のフードと吸込み用のフードを向かい合うように設置する方法です。
有害物質の発生源またはその付近を通り吸込み側フードに向かう一様な気流を形成し、その気流によって発生源から発散する有害物質を吸込み側フードに送り排気する装置を指します。
吹き出し用フードをプッシュフード、吸込み用フードをプルフードと呼ぶことからプッシュプル型換気装置と呼称されます。
施工風景写真
<施工前>
<施工途中>
<施工後>
<プッシュ側フード>
<プル側フード>
<防爆エリア外 送風機設置前>
<ダクト部分>
施工時に気を使った点、工夫した点
作業場所は防爆エリアのため、吸気型の送風機と配電盤、スイッチを室外に設置しました。
また、作業スペースとしてプッシュ型フードの吹出口からプルフードの吸込口まで1m70cm以上確保したいというご要望に対応するため局所排気装置の厚みを可能な限り薄くし、プッシュ側はダクト込みで60cmに抑えました。
送風機のベルトカバーは視認性と安全面から黄色に塗装、裏板ありで取り付けました。
ベルトカバー上部にはベルトの回転方向と種類が確認できるようにネジ留めができる蓋を設置し、点検のしやすさにも配慮しました。
施工後のお客様の声
お客様からは『丁寧に対応していただきありがとうございました。とても助かりました。今後ともよろしくお願いいたします。』とのお言葉をいただきました。