栃木県鹿沼市で電子機器や情報機器用電線及び加工品の開発・製造を行っているお客様より、以下のご相談がありました。
・取り扱っている製品のマーキング工程で使用している装置に外付け式フードを付けているが、点検の際に風速が確保できていなかった事が判明した。
・メンテナンス時に作業の邪魔にならないよう、また扉開口時に周辺通路をふさがないようにしてほしい。
・閉め忘れを防止するために扉が開いている状態の時はブザーが鳴るようにしてほしい。
このご相談に対して田崎設備では、アルミフレームによる囲い式フードの製作・取り付けと扉開口時警報装置の取り付けをご提案しました。
施工内容
アルミフレーム加工および組立、パネルの加工、取付
既存設備の撤去、新規フードへダクト接続
フード設置に伴う制御盤の移動
扉開口時警報装置取付
既存版の運転スイッチおよびランプの取付
将来ラインを増設するため、分岐管の取付
提案・施工内容
まず実際に現場を確認させていただき、工場内の配置や寸法を正確に把握することに注力しました。
その上で既存の外付け式フードを撤去し、マーキング装置ごと囲うことができる囲い式フードをご提案しました。
囲い式フードとは
囲い式フードは、発散源を囲い開口面に吸い込み気流を与えることによって有害物質がフード外へ流出することを防ぐことができ、化学物質へのばく露を減らすことができます。
また、囲い式フードは外付け式フードと比べて外乱気流による影響を受けにくく、小さい排風量でよい効果が得られる最も効果的なフードです。
参考:厚生労働省『職場の安全を応援する情報発信サイト職場のあんぜんサイト』より
(https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/pdf/taisaku/common_Ventilating.pdf)
施工風景写真
※お客様に配慮して現場写真にはモザイク加工を施してあります。
<施工前>
<施工後>
メンテナンス時および扉開口時に作業の邪魔にならないように、とのご依頼に対して最初はスライド式をご提案しましたが、左右の設備を使用時に業務に支障が出てしまうため折戸式を導入することとしました。
(参考)
<スライド式 図面>
<折戸式 図面>
<既存版の運転スイッチおよびランプの取付>
運転スイッチ、ランプのみのスイッチをフード内部に設置することで扉の開閉を減らし、作業効率の向上を図りました。
(上の写真で矢印の先が運転スイッチ、赤い四角に囲まれた赤と黒の丸がランプです。)
<囲い式フード天面 拡大図(開閉部分)>
天面は可動式にして溶剤の入れ替えがしやすいよう工夫しました。
田崎設備ならではの工夫
今回の施工では毎週土曜日と日曜日に製造ラインを止めていただいて作業を行いました。
限られた時間を有効に利用するため材料の事前加工を行い、予備の材料を揃えて現場での対応力を高めるとともに作業員の役割分担を徹底することで品質を一定かつ時間短縮を図りました。
<事前加工の様子>
<完成図>
<扉部分>
<足部分 拡大>
材料のアルミフレームは強度面を考慮し30㎜を選定しました。
また、足にはアジャスターを取り付け高さの調節ができるようにし、製作物の種類を減らすことで低コスト化に繋げることができました。
施工の際に気を使ったこと
①製品の品質保持
②作業員の安全対策
③機能面
①製品の品質保持について
製品通過部(図面2の側面部参照)にゴムカバーを取り付け、製品に傷がつかないよう配慮しました。
またフード内部のボルト類には落下防止のためネジロックを塗布しました。
②作業員の安全対策
折戸の扉の継目部分にシートを取り付け、指などの挟まれ防止処理を行いました。
ダクト接続部にビスカバー、フード端部にカバーを取り付けるなど作業員の切創防止に配慮し、フレーム正面に黄色のフレームカバーを設置して見やすくなるよう工夫しました。
また、フード上部が低いものに関しては虎テープで注意を促すようにしました。
③機能面
フードの上面、側面には採光性に優れた透明パネルを採用し、底面パネルには汚れが目立つよう白のパネルを採用することで手元の明るさを確保しました。
また扉端部には気密性向上のためにパッキンを使用し、閉め忘れ防止にブザーを取り付けました。
施工後の担当者の声
今回は事前加工や作業員の手配を工夫し、出来る限り工期の短縮と品質の一定化に重点を置いて施工を行いました。
お客様にとっても弊社にとっても最良の結果になるよう配慮しました。
お客様の声
『現場での急な要望にも快く応えていただき、使いやすい装置となりました。本当にありがとうございました』とのお言葉をいただきました。