肉や魚など生鮮食品を乗せるプラスチックの食品トレーを製造する工場より、以下のご相談がありました。
・製造工程で機械が発熱し、工場内部の気温が高くなっているため熱中症の危険がある。
・作業員の労働環境改善のためにエアコンを設置したい。
課題解決のご提案
お客様とのヒアリングを行う中で、夏だけではなく冬でも工場内で同じ空調を使用する事はできないか、とのご要望がありました。
そこでオールフレッシュ型空調機を内気循環させてダクトを接続し、スポット的な使用ができるような施工をご提案いたしました。
オールフレッシュ型空調機は取り入れた外気が熱交換器を通過する速度が一般的な空調機よりも約50%程度遅いため、冷却・加熱効果が良く一次処理(外気を取り入れ空調する)に適しているという特徴があります。
また、風量を落とすことで温度調整がしやすいという点を重視して空調機を選定しました。
オールフレッシュ型空調機と通常の空調機の外気処理時の温度を比較すると、下記のような違いがあります。
外気が0℃の場合の吹出口の風量と温度
オールフレッシュ型空調機:2m/s~2.5m/s 0℃→30℃
同じ能力の一般的な空調機:1m/s~1.5m/s 0℃→18℃
なぜ12℃も違いが出るかと言うと、風量が大きく異なるからです。
前述したように、オールフレッシュ型空調機は取り入れた外気が熱交換器を通過する速度・風量が一般的な空調機よりも約50%程度遅いという特徴があります。
つまり外気が熱交換器をゆっくり通過するため普通のエアコンより温度の調整がしやすいのです。
さらに、お客様からは『夏の冷房時の吹出温度をそこまで下げなくても良いので、ダクトから吹き出す風を多くして体感温度を下げられるようにしたい』ともご要望がありました。
そこでダクトを使用してスポットクーラー形式にし、ダクトからの吹出風速を8m/secに強める事で作業員が充分な風量を感じられるようにしました。なお今回の施工方法では空調機の能力が足りないため、夏は外気-10℃程度の温度しか出せないとお客様には事前にご説明させていただいています。
温度はあまり低くないものの、風量で体感温度が下げられるように風速を設定しました。
従来の施工方法であれば工場全体を冷やすために熱負荷を考慮しても50馬力程度の空調機が必要となります。
当然空調機自体の値段も高く、空調機本体を設置するための大きなスペースが必要となり、外気を取り入れるために工場の壁に穴を開けるなど大規模な工事を行わなければなりません。
しかし今回は工場全体を冷やすよりも『冬も使用したい』というお客様のご希望を叶えるため、8馬力のオールフレッシュ型空調機を内気循環させ、ダクトを使ってスポットクーラー形式にする事で効果的な結果を生み出す事ができました。
通常、工場に設置するスポットエアコンと呼ばれる空調機には冷房しかありません。
工場内を暖房するためには他にヒーターなどの暖房機器を設置する必要があります。
しかしこの施工方法であれば1台で冷房・暖房として使用する事ができ、なおかつ価格を抑えて3日という短期工事を可能にしました。
施工内容
・空調機新設工事
・空調ダクト新設工事
工場内にダクトを新設し、フレキシブル・プラスチックホースを4ヶ所接続しました。
ホースは自由に動かすことが可能で曲がったままの状態を維持できるため、作業者が吹き出し口を調節し適切な環境で作業が行えるよう設計しました。
施工風景写真
前面の吸込口にフィルターを設置
<施工中>
気密検査(配管の漏れ確認)風景
<施工後>※商品・材料が写っているためモザイク加工をしています。
<室外機>
施工後のお客様の声
お客様からは『作業環境が大幅に改善しました。工場が稼働していない3連休中に工事を納めていただいたおかげで生産に影響が出なかった点も感謝しています。またコスト面についても考慮していただきありがとうございました。』とのお言葉をいただきました。
工場においては熱源や作業性を考慮し、空調が必要な場所に設置するのではなく少し離した場所に設置すると効果的な結果を得られやすくなります。
工場内の空調をお考えの方はぜひ一度、田崎設備にご相談ください。