住宅設備機器の製造・販売・取付業のお客様より、下記のご相談がありました。
・システムキッチンの天板の作成工程で、天板の裏に緩衝材の木片を糊付けする際に有機溶剤(アセトン、酢酸エチル等)を使用している。
・作業の流れとしてはローラー付の台に天板を乗せて溶剤を塗布し、横にある圧着させる機械に送る流れ作業。
・換気設備がないため有機溶剤特有の臭いがひどく局所排気装置を設置したい。
実際の現場を確認すると、天板裏に緩衝材を糊付けする作業を行っている場所には排気装置がなく、対応策として衝立に梱包用のビニールを巻いて防がれていましたが吹付工程の台や周辺が糊だらけになっていました。
また詳しくお話を伺うと過去には排気設備があったそうですが、故障して以来使用していないとのことでした。
また近隣に住宅があり送風機の風量も大きいため、送風機の音が響かないように防音ボックス付送風機を選定しました。
フードの設置による作業性の低下を最小限に抑えることができました。
施工内容
・局所排気装置の設計・製作
・ダクト工事
・送風機の架台設置
・送風機電源および操作盤設置
・労基署申請書類作成、同行
<フード図>
作業の流れを考慮し上記フード図を設計しました。
作業の流れとしては、
①左側のシートカーテンを開けてキッチンの天板を裏返しで乗せる
②吹付エリアはローラー付の台になっており、糊を吹き付けながらコルク状の木材を貼付
③フード図には描写がないが右側に圧着させる機械があり、ローラーの上を転がしながら右側下部の隙間から天板を圧着させる機械に送る
となっています。
<参考:天板の裏側写真>
四角い穴が空いている箇所にシンクやIHコンロなどをはめ込みます。
施工風景写真
<施工前>
<施工後>
<フード製作過程>
加工のしやすいアルミフレームで設計し、現場で組み立てを行いました。
<フード詳細>
左端は天板をローラー台に乗せる際に邪魔にならないよう透明なシートカーテンを取り付けました。
製品を傷付けず、作業工程を妨げないように配慮しました。
右端は横の圧着させる機械に天板を送り出せるよう隙間を空けてあります。
<施工前 送風機>
<施工後 送風機>
送風機の設置場所は横に材料を保管する棚があり、車の往来も多いためスペースが限られていました。
そこで2段置きできるよう架台を製作し設置することで省スペースを実現し、背面の点検口からメンテナンスもしやすいようにしました。
施工前・施工後のデータ
<風速測定>
<風速 計測箇所>
開口面で計測した結果が下記の数値です。
①1.38 ②1.46 ③0.89 ④1.14
⑤1.35 ⑥0.99 ⑦0.88 ⑧0.83
⑨1.21 ⑩1.03 ⑪1.14 ⑫1.4
⑬0.8 ⑭0.89 ⑮0.86 ⑯0.73
施工時に気を使った点、工夫した点
・フードの吸込み面にフィルターを設置することでダクト内やフードに糊が詰まって能力が低下するリスクを低減できるようにしました。
・フード内に照明を別途設置しなくてもいいようにフードの天面部などのパネルを透明な樹脂パネルにし、採光性を高めました。
施工後のお客様の声
お客様からは『局所排気装置を設置してもらって工場内の溶剤臭がなくなりました。
フィルターを定期的に交換することで汚れも溜まりにくくメンテナンスも容易で助かっています。
また、防音ボックス付送風機にしていただいたおかげで騒音問題も起こりませんでした。本当にありがとうございました。』とのお言葉を頂きました。
さらに今回の施工の後、より大きな天板用の局所排気装置もお願いしたいと追加でご依頼をいただきました。
お客様のご要望に合わせて作業性や工程を変えることなく設計・施工を行うことができるのが田崎設備の強みです。
有機溶剤の臭いにお悩みの方、局所排気装置をお考えの方はぜひ田崎設備にご相談ください。