お客様の要望
既存の冷凍保管庫内で製品を凍らせているが、緩慢凍結方式のため凍結するまでに時間がかかってしまう。
新たに専用の凍結庫を作るには予算が厳しいため、壊れた冷凍機の更新の際に冷凍保管と凍結を両立できるようにしてほしい。
設計のポイント
今回のお客様の設備は冷凍保管庫のため、製品に直接冷風を当てる仕組みを冷凍庫内に作り製品の温度を奪う施工方法をお客様にご提案しました。
具体的な方法としては冷凍庫内の一部を可動式シート暖簾で区切り、ユニットクーラーからの冷風が直接当たるようにするというものです。
まずブース内に気流を発生させる専用の送風機を設置し、強制的にユニットクーラーの吸込み口に空気を戻すことで冷風が一定の流れで製品を冷やすという方法を考案し施工しました。
さらに気流の流れを助けるためにスリットカーテンを吊り、急速凍結の必要がない時はスリットカーテンを折り畳むことで従来通りの冷凍庫全体の冷凍保冷を可能にしました。
試運転の結果は下記の通りです。
タコ(冷蔵保管)+12℃を冷凍にした場合(芯温計測)★
緩慢凍結(既存冷凍庫) 3時間30分 -3℃ ➡ 5時間 -3.8℃
急速凍結(今回の方法) 1時間40分 -3℃ ➡ 5時間 -16.3℃
冷凍機は入れ換えましたが新たに増えた機器は送風機とスリットカーテンのみのため、お客様のご要望でもあったローコストにも十分応えることができました。
工事内容
・凍結ブース内の風の流れを考え冷却器を移動
・プレハブパネルを用いてブースの垂れ壁を設置しスリットカーテンを取り付け
・ブース内に気流を発生させる冷気循環ファン装置を設置し、冷凍機交換に伴い既存冷却器の膨張弁をR410A用に交換
お客様の声
凍結ブースを壁で間仕切りすると冷凍保管スペースが狭くなり不便になると思っていましたが、スリットカーテンで間仕切りをしてくれたのでハンドパレットによる荷物の出し入れに全く不自由を感じず2つの使い方が両立できています。
品物の凍結速度も思っていた以上で本格的凍結庫に匹敵しています。
使い方も簡単で、凍らせたい品物を凍結ブース内に入れておくだけでその他の操作は一切必要ないためとても満足しています。
簡易凍結ブースの性能を検証
お客様からサンプル(ボイルタコ2検体ほぼ同重量)をご提供いただきました。
芯温測定用センサー2本を用意し、同様の太さの足にそれぞれ挿入し室内にて2検体のセンサーが同じ温度になるまで放置しました。
1体を簡易冷凍ブース内、1体を冷凍保管スペース内に置き温度の推移を測定しました。