製造業のお客様より、以下のご相談がありました。
・金属製の缶(一斗缶など)の生産を行っている工場で、新たに生産機器を設置することになった。
・缶の溶接部に腐食を防ぐための溶剤を塗布しており、有機溶剤(酢酸エチル)を使用するため局所排気装置を導入したい。
実際に現場を確認すると、溶剤を塗布する機器はライン工程のように左から右へ製品が流れていく構造になっていました。
そこで機器全体を囲うような形の局所排気装置を設計しご提案いたしました。
その際、製品が流れる工程を邪魔しないように左右に開口部を設け、隙間に透明なシートを取り付ける事で隙間ができる限り少なくなるようにしました。
また、製造している様子が確認できるよう正面・左右の側面は透明な樹脂パネルや透明な防炎カーテンを使用し、機器が稼働していない時のメンテナンスが行いやすいように正面には両開きのカーテンを採用しました。
今後は設備を増設予定ということで余裕を見た能力の送風機を選定し、手動のダンパーを2ヵ所設置することで風量を調節できるようにしました。
なお、今回はこの局所排気装置のみのご依頼でしたが、工場全体の換気についても当社にご依頼を頂いております。
局所排気装置はその名の通り有害物質を確実に排出するための装置であり、大量の空気を排気するのが特徴です。
工場全体をひとつの空間として捉えると、排気した分と同じだけの給気をし(新しい空気を取り入れ)なければ工場内の空気が不足し、室内は吸い込まれる(陰圧)状態となります。
その結果、ホコリや虫の侵入、換気扇の異常負荷による故障、さらには作業員が息苦しさを覚えるなどの不具合が発生しやすくなります。
そのため局所排気装置の設計・施工にあたっては工場全体の換気系統を考慮した給排気バランスの最適化が不可欠です。
適正な換気設計は製品品質の安定化、作業環境の改善、機器の長寿命化といった多面的な効果をもたらすため、総合的な換気計画こそが製品品質の安定化と作業環境の改善の双方に直結する重要な取り組みと言えるでしょう。
<イメージ図>
カーテンを開けた状態での排気量は以下の計算式を用いて算出しました。
開口面積 Ao=2.28㎡
制御風速 Vc=0.4m/s
風速の不均一に対する補正係数 K:1.2
Q=60×Ao×Vc×K
Q=60×2.28×0.4×1.2
Q=65.66㎥/min
Q≒66㎥/min
排気量66㎥/minを身近なものに例えると、コンビニエンスストア(約500㎥・50坪)の空気を1時間に8回入れ替えることができる風量です。
基本的に機器を使用する際はカーテンを閉めた状態ですが、メンテナンスの際に臭気がフードの外に漏れ出ることがないように上記の計算を行い、排気量をもとに安心して作業が行えるようフードを設計しました。
<側面のイメージ図>
排気は上部からダクトで行うだけでなく、側面の下部にもダクトを接続しフード内に臭気が溜まりにくいよう配慮しました。
【囲い式フードについて】
囲い式フードとは、有害物質の発生源を囲うように設置された局所排気装置のフードの一種です。
発散源を囲むことで外乱気流の影響を受けにくく、開口面に吸い込み気流を与えることによって有害物質がフード外へ流出することを防ぐことができるため化学物質へのばく露を減らす事ができます。
外付け式フードと比べて少ない排風量で効果的に有害物質を排気できるのが特徴です。
(囲い式フードの例)
施工内容
・局所排気フード設計・製作
・ダクト工事
・送風機搬入
・送付器電源工事
施工風景写真
※掲載している写真や図面はプライバシー保護のため、一部にモザイク加工を施しております。
あらかじめご了承ください。
<正面図>
<正面図 カーテンを開いた状態>
<側面から見た図>
隙間には透明シートを取り付けました。
施工時に気を使った点、工夫した点
今回の排気は上部からだけではなく、側面下部にもダクトを接続しフード内に臭気が溜まりにくいように設計・施工を行いました。
施工後のお客様の声
お客様からは『局所排気装置を設置していただいてから溶剤の臭いがなくなりました。フードが透明なおかげで状況も確認でき、正面のカーテンを開ければメンテナンスも容易なのでとても助かっています。ありがとうございました』とのお言葉を頂きました。
田崎設備では既存設備に合わせた局所排気フードの設計・製作が可能です。
特にメンテナンス性や作業性を損なわないようなフード設計については、お客様のご要望に出来る限り寄り添って設計・製作を行っております。
局所排気でお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。