義肢や装具の製作販売を営むお客様より、以下のご相談がありました。
・有機溶剤(トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ヘルマルヘキサン等)の含まれた接着剤を塗布する作業場の増設を考えている。
・増設に伴って、作業場の環境整備と作業員の健康被害を予防するため、また有機溶剤中毒予防規則に遵守した設備を整えるために局所排気装置を設置したい。
課題解決のご提案
今回のお客様の取り扱う製品はサイズが小さいもの、大きいもの、細長いものなど多種多様であり、作業台と一体型の局所排気装置が必要となりました。
また、使用する接着剤は刷毛塗装とスプレー塗装の2種類があるため、それぞれに適切な局所排気フードの設計をご提案させていただきました。
施工内容
今回は用途に合わせて以下の局所排気フードを製作しました。
①刷毛塗装用フード
②スプレー塗装用フード
また、スプレー塗装用フードには吸込み面にフィルターを内蔵しました。
フィルターを内蔵した理由として、スプレー塗装によって余分な接着剤が局所排気フード内に発生した際にその接着剤を直接ダクトで排気してしまうとダクト内部や接続された送風機に付着し、機器の故障や火災の原因となることもあります。
そのため、安全面に配慮してフィルターを設置しました。
また、局排フードは開閉式で設計・施工を行いました。
局排フードを開閉式にしたのは製品の取り扱いのためだけではなく必要排気量の削減のためでもあります。
開口面が大きいほど必要排気量も増加するため、製品を局所排気フードに入れる時は開口を大きく、作業を行う際は必要最小限の開口になるよう設計しました。(ドラフトチャンバーのような使い方ができるようにしました。)
左:①刷毛塗装用フード、右:スプレー塗装用フード
施工風景写真
<外部ダクト立上 施工前>
<外部ダクト立上 施工後>
<屋上 ダクト排気口 屋根上+1500mm>
<屋上 ダクト排気口 屋根上+1500mm 拡大画像>
<フード①・②設置 施工前>
<フード①・②設置 施工後>
左:①刷毛塗装用フード、右:②スプレー塗装用フード
<制御盤設置 施工後>
施工時に気を使った点、工夫した点
手元での作業をするにあたって光源が必要となります。
今回は局所排気フード内に照明を設置すると飛散した接着剤等で照明が故障する可能性がありました。
そこで局所排気フードの上面および側面を透明なPET板で製作し、室内の照明の光を取り込めるように設計しました。
また、作業面(底面)および背面を白色もしくは光を反射するアルミ複合板(ホワイト)にすることにより、局所排気フード内の明るさを確保することができました。
当社では現場の環境に合わせて局排フードに使う素材を部位ごとに選択できる自由さがあります。
施工後のお客様の声
お客様からは『作業の目的に合った局所排気フードを設計していただきました。
使用する環境への対策もしてあるため、メンテナンスにあまり手間がかからず助かっています。ありがとうございます。』とのお言葉をいただきました。