樹脂製のタンク製造・販売業のお客様から、下記のご依頼がありました。
・工場内の一角に簡易的な打ち合わせスペースを2ヶ所設置したい。
・設置希望箇所には現在テーブルとイスを置いて簡易的な事務作業をしたり休憩できるようなスペースにしているが、工場内が年中暑いため空調設備を設置したい。
このご依頼に対して田崎設備では、透明な糸入りのビニールシートとスチール製の角パイプを用いた簡易的な打ち合わせスペースの設置をご提案しました。
構造としてはスチール製の角パイプで骨組みを作り透明なビニールシートを取り付けるというシンプルなものですが、今回の施工には以下の3つの特徴があります。
①ビニールシートの下部にチェーンを巻き重石にすることでシートがめくれないようにした
②出入り口はシートが30㎝ほど重なるようにし、室内の空気をできるだけ外に逃げないようにした
③工場や倉庫は建築基準法で「特殊建築物」に定められるため増築・改築の際は建築確認申請が必要だが、この施工方法であれば申請が不要
(以下詳細)
③で前述したとおり、工場や倉庫は建築基準法で「特殊建築物」に定められるため、延べ床面積が200㎡以上の倉庫や工場の増築、または増築によって延べ床面積が200㎡以上となる場合は建築確認申請が必要です。
ただし防火地域・準防火地域外にある倉庫・工場で増築面積が10㎡以下の場合は申請が不要となります。
そのため今回設置した簡易打ち合わせスペースは2つとも上記の条件を満たす大きさと材料で設計・施工を行いました。
参考
建築基準法 第一章 第六条(建築物の建築等に関する申請及び確認)
建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事又は建築副主事(以下「建築主事等」という。)の確認(建築副主事の確認にあつては、大規模建築物以外の建築物に係るものに限る。以下この項において同じ。)を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。
一 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの
二 木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの
三 木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの
四 前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物
2 前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内であるときについては、適用しない。
(参考)国土交通省『建築基準法』(法令検索e-GOV)
建築基準法 第一章 第六条(建築物の建築等に関する申請及び確認)
防火地域・準防火地域 とは(【第8条及び9条】)
都市計画法に基づく地域地区の一つ。市街地における火災の危険を防除するため、建築物を耐火構造、防火構造とすることなどの制限を定める制度。
主として商業地など建築物の密集した火災危険率の高い地域について指定される。
(参考)『栃木県の都市計画』(栃木県刊行 令和6(2024)年 栃木県県土整備部都市政策課)
https://www.pref.tochigi.lg.jp/h08/system/honchou/honchou/documents/20240815185241.pdf
施工内容
・ビニールシートを用いた打ち合わせスペースの製作、設置
・空調機新規設置工事
施工風景写真
<施工後>
<全体状況>
<ドレンポンプ据付状況>
<室内機 据付状況>
<室内機 冷媒配管状況>
<室内機 ドレン配管状況>
施工時に気を使った点、工夫した点
今回のビニールシートを用いた簡易スペースはお客様との打ち合わせの結果、最もご要望に沿った施工であると判断したためご提案いたしました。
なお、工場のある土地が防火地域・準防火地域外ではあるものの万が一に備えてビニールシートは0.3mm厚、静電防止・防炎仕様のものを使用しました。
また樹脂のタンクの製造工程で排熱が多く年間を通して工場内が高温のため、一般的な工場に設置する空調機よりも大きい能力の機器を選定・取り付けました。
施工後のお客様の声
お客様からは『暑い工場内にしっかり空調が効くスペースを作っていただきありがとうございます。おかげで快適に打ち合わせができています。
また、申請が不要という点も非常に助かりました。来年も依頼させていただきたいと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。』とのお言葉をいただきました。