香料を扱うお客様より、防爆エリア内の冷凍冷蔵庫についてご相談｜局所排気装置・冷凍機・業務用エアコンは田崎設備栃木県真岡市

香料を扱うお客様より、以下のご相談がありました。
・防爆エリア内で、薬品を保管している冷蔵庫と冷凍庫の更新を考えている。
・20年以上使用しているため故障する前に更新したい。

課題解決のご提案

今回は防爆エリア内にある冷凍機と冷蔵庫の更新ということで、既存の冷凍機のヒーターデフロスト回路からホットガスデフロスト方式に改造を行いました。
この方法であれば－15℃まで対応が可能です。

施工内容

①ユニットクーラーをホットガスデフロスト方式に改造（ホットガス回路の取出口を設置）
②電磁弁の外付け
③冷凍冷蔵庫更新工事

今回は庫内の除霜対策としてホットガスデフロスト方式に改造を行いました。
電気ヒーターやオフサイクル等の方法もありますが、防爆エリア内ではファンや電気ヒーターを使用することができないため、ホットガスデフロスト方式を採用しました。
元々あるホットガス回路に取出口を設け、配管を屋内に繋げて熱交換器の霜取りに使用しました。
また電磁弁も防爆エリア内では使用できないため、取り外してエリア外に設置しました。

一般的に、除霜対策としてはヒーターデフロスト方式とホットガスデフロスト方式があります。
電気ヒーターデフロスト方式は熱交換器に組み込まれたヒーターに通電し熱交換器を加熱させて着霜を溶かす方法です。
この方式は多くのメーカーで採用されていますが、
①ヒーターによる加熱により熱交換器だけでなく周辺の空気も温めてしまい庫内の温度上昇や周辺の着霜を招いてしまう、
②除霜に時間がかかってしまい商品の品質低下を招くことがある、
というデメリットがあります。

＜ヒーターデフロスト方式＞

一方のホットガスデフロスト方式は冷却管内を約60℃のホットガスが流れるため、直接冷却管やフィンを温めることができます。
霜を内側から溶かすため周辺の空気温度の上昇を抑えられ、庫内温度を一定に保てます。

＜ホットガスデフロスト方式＞

また、ホットガスデフロスト方式は以下のメリットがあります。
①庫内天井の結露を低減できる
②溶け残りによるドレンパン詰まり・配管亀裂を抑制できる
③吹き出しダンパーがなくても結露軽減の効果がある

①庫内天井の結露を低減できる

電気ヒーターデフロスト方式の場合は前述のとおり、電気ヒーターを熱交換器に組み込み周囲の空気を温めて霜を溶かす構造になっています。
しかし、以下のような問題が起こる事があります。

・除霜時の高温になったヒーターに溶けた水や氷、霜が接触することで蒸発し蒸気が発生
➡蒸気が天井に付着
➡除霜後の冷却時に凍結し氷柱状態になり、保管品に滴下し不衛生な状態になってしまう

・除霜時に水や氷の塊がドレンパンに落下
➡ドレンパンのヒーターに触れて蒸発
➡庫内温度上昇時に氷が解けて滴下、床面で凍結し作業者が足を滑らせる危険性が上昇

ホットガスデフロスト方式は冷却管内に約60℃のガスを流し短時間で内側から溶かすため除霜時の蒸気発生を抑制する事ができ、天井面の結露を軽減することができます。

②溶け残りによるドレンパン詰まり・配管亀裂を抑制できる

ホットガスデフロスト方式は低温のガスで内側から溶かすため、氷塊のまま熱交換器から剥離せずシャーベット状になって流れ落ちドレンパン詰まりのリスクを下げられます。
また急激な温度上昇がないため配管の熱膨張による亀裂・破損のリスクが低いというメリットがあります。

一方のヒーターデフロスト方式はヒーター付近の霜（氷）の内側だけがすぐに溶け、剥離するため氷の塊がドレンパンに落ち溶け残りとなってドレンパン詰まりを引き起こす可能性があります。

③吹き出しダンパーがなくても結露軽減の効果がある

電気ヒーターデフロスト方式の場合、庫内温度が低いと熱交換器周辺の空気がなかなか温まらず、除霜に時間がかかります。
また、ヒーターの熱で庫内温度が上昇するうえ、除霜の際に発生する水分蒸発も多くなり天井の霜付きが多くなるなどダンパーの取り付けが必要なケースが多くあります。
※吹き出しダンパーは水蒸気がユニットクーラーの外に出るのを抑制するためのものです。