食品の保管や製造現場など、さまざまな場面で稼働している「冷凍機」。 業務用と家庭用ではその構造や設計思想に大きな違いがあります。
今回は、過去に当社へ寄せられた修理依頼の傾向をもとに、冷凍機のトラブル原因や技術の変遷、そしてガス漏れによるリスクを回避するための最新の対策について解説いたします。

修理依頼の多くを占める「ガス漏れ」とその原因

当社でお受けした過去の修理依頼を分析すると、全体の約3分の2が「冷凍機のガス漏れ」に関するものでした。
ガス漏れが発生する主な原因は「配管接合部の金属疲労」にあります。
冷凍機に組み込まれている圧縮機(コンプレッサー)は稼働時に継続的な振動を発生させます。配管が「支持金物(しじかなもの)」と呼ばれる専用の部品で適切に固定されていない場合、この振動が配管に直接伝わり続けます。
その結果、金属疲労が生じ、ひび割れや破損を引き起こしてガス漏れに至ります。

現在では多様な支持金物や適切な施工方法が確立されたため、金属疲労によるガス漏れは以前に比べて大きく減少しました。
しかし施工状態や設置環境、経年劣化などの影響により現在でも発生する可能性はあります。

家庭用と業務用の構造的な違い

一般家庭で使用される冷蔵庫・冷凍庫と業務用設備には、用途や維持管理の面で明確な差異が存在します。

① 家庭用機器:使い切りを前提としたコスト優先設計

家庭用の機器は本体の側面や裏面に放熱板を配置し、空冷室外機の役割を果たさせる構造が一般的です。
また、万が一ガス漏れが発生した場合でもガスの再注入や修理を行う仕様にはなっていません。
こうした構造の簡略化によって製品価格が抑えられており、「故障時は本体ごと買い換える」ことを前提として設計されています。


② 業務用機器:用途に応じた細かな性能設定が可能

対して業務用の冷凍機は、保管対象や目的に合わせて温度設定や冷却能力を個別に設計・設定できます。

•商品を-20℃または-15℃で保管する
•マグロなどの特定の食材用に-40℃の超低温状態を作る
•常温の品物を翌日までに急速冷却する
•既に凍結されている状態を維持管理する

このように利用目的に合わせて最適な機器構成やシステムを選択する必要があるため、業務用設備には専門的な設計と定期的なメンテナンスが求められます。

冷凍・冷蔵設備の歴史と技術の進化

現在では標準的となった各種設備ですが、その導入と施工技術には以下のような歴史的背景があります。

•戦前から戦後にかけての普及
一般家庭に冷凍機が普及し始めたのは戦後になってからのことです。
戦前の冷凍・冷蔵設備は事業者向けに限られており、栃木県のような内陸地域では川魚以外の新鮮な生魚を口にすることは困難でした。

•施工技術の移り変わり
かつて冷凍・冷蔵庫を建築する際は非常に大規模な工事が必要でした。
現在は厚さ5〜6cm程度の断熱パネルを組み合わせて施工できますが、以前は20〜30cmもの厚い壁を作り、発泡スチロールや防水布を敷いた上で木の下地を組み、モルタルを塗って仕上げる手法が取られていました。
現場によっては完成までに2〜3ヶ月間施工業者が滞在して作業を行うのが一般的でした。

•冷媒と建材の変化
戦後、フロンガスが普及したことで安全に機械を運用できる環境が整ったため、設備は急速に広まりました。
また、建築物の構造自体が従来の漆喰やコンクリートから多様化するにつれ、配管を固定する支持金物などの部材も発展しました。
かつては難しかった「配管を浮かせて固定する」技術が確立されたことで、振動による金属疲労やガス漏れのリスクは大幅に低減されています。

「冷えなくなる前」の初期検知が、緊急リスクを回避する

冷凍機内の冷媒ガスは、ある日突然一気に抜け切るケースは少なく、破損部から時間をかけてゆっくりと漏れ出ていくのが一般的です。
注意が必要なのは、ガスの残量が全体の60%を下回るまで庫内は問題なく冷え続けてしまう点です。
一見正常に動いているように見えても裏ではガス漏れが進行しており、60%を下回った段階で急激に冷えなくなるという症状が現れます。
冷えなくなってから対応を行う場合、庫内商品の損害や急な修理対応など、大きなリスクとコストが発生します。
これを防ぐためにはガスが抜け切る前の「初期段階」で漏れを検知・対応することが重要になります。

フロン漏えい検知システム「フロンキーパー」のご紹介

こうしたガス漏れの初期検知を可能にする機器として、株式会社ナンバ(新潟県)が開発したフロン漏えい検知システム「フロンキーパー」https://nanba1.jp/business-guide/freon-keeper)があります。

•初期段階での異常検知
配管内のわずかな状態変化をとらえることで庫内の温度が上がる前の初期段階でガス漏れを早期に検知・通知します。

•緊急トラブルと運用の予防
突然「冷えなくなる」事態を未然に防ぎ、余裕を持った点検・修理対応が可能になります。
導入にあたっては機器および設置費用が発生いたしますが、重大な障害による損失や緊急対応のリスクを最小限に抑える対策として有効です。
当社におきましても「フロンキーパー」の取り扱い・設置施工に対応しております。

まとめ

約30年前には存在しなかった支持金物などの施工技術や部材の開発により、現在の冷凍設備は安全性が高まり故障のリスクも軽減されています。
しかし、軽微なガス漏れのように、目に見えないところで進行するトラブルも存在します。

「庫内の温度変化を防ぎたい」「設備の安定稼働を維持したい」とお考えの際は、早期の定期点検や検知システムの導入を含め、お気軽に田崎設備までご相談ください。

冷え具合の低下や通常と異なる動作音が確認された場合は早期の点検をお勧めいたします。

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