フィルム加工業のお客様から、以下のご相談がありました。
・スクリーン印刷機を冷やすために水冷チラーを使っているが、コンプレッサーが止まってしまい動かない。
・28年ほど使用しており、一度もメンテナンスをしていない。
・メーカーにも見てもらったがガス漏れと診断され、修理に時間がかかると言われた。
・納期が迫っているためどうにか修理してもらえないだろうか。
当初はガス漏れとの事でしたが、お話を伺う中で高圧カットによる停止の可能性があると推測しました。
実際に現場で運転を確認したところ高圧カットで停止していることが判明したため、凝縮器の洗浄によって改善できると判断しご提案しました。
●高圧カットについて
高圧カット(高圧圧力異常)とは、空調設備や冷蔵・冷凍設備で起こるトラブルの一種です。
冷媒の圧力が異常に高くなった際に機器を保護するために運転を強制的に停止させる現象を指します。
主に冷房運転時や冷凍冷蔵運転時に発生し、冷媒の冷却が不十分になることが原因で起こります。
今回のような冷凍機での高圧カットの主な原因は凝縮器の詰まりによる冷却不足、ショートサーキット、周辺温度の上昇、ファンモーターや冷却水の不良などです。
対策としては凝縮器の洗浄、冷却水の流量・温度の確認などが挙げられます。
聞き取りの結果、凝縮器の汚れや目詰まりによって冷媒が十分に冷却されず高圧になっていると判断し洗浄を行いました。
施工内容
水冷チラー洗浄
施工風景写真
<全体図>
赤丸で囲んだ部分の蓋を外して洗浄を行いました。
<イメージ図>
全体図は上図の赤矢印方向から見た図です。
<凝縮器の蓋を外した図>
<洗浄中>
細長いブラシを使用して一つひとつ洗浄を行いました。
溜まっていたのは水に含まれる不純物です。
ブラシで掻き出した後、高圧洗浄機で洗浄を行いました。
<洗浄中(動画)>
気を付けた点、工夫した点
凝縮器は鋳物でできており、漏水を防ぐために蓋との間にパッキンが設置されボルトで固定されています。
今回の事例では洗浄を行う前に蓋を外す必要がありました。
しかし一度もメンテナンスを行っていないという言葉通り、ボルトを外してもパッキンが固着していて外れませんでした。
そのため蓋とパッキンの隙間にバールを差し込み、ハンマーで衝撃を与えて綺麗に残せるように配慮しながらパッキンを剥がし洗浄を行いました。
(詳しくは下記の図を参照)
<イメージ図>※赤い部分がパッキンです。(※説明上の都合により、実際には黒色の部分を赤で表現しています)
施工後のお客様の声
お客様からは『本当に困っていたので、すぐに対応していただけてとても助かりました。2時間程度で動くようにしてくださって感謝の言葉が尽きません。蓋を外す際も洗浄時も黙々と作業をされていて、プロの仕事を見させていただきました。』とのお言葉を頂きました。
型式:ダイキン製のブラインチラー UW50MFZ
使用冷媒:R22