製造業のお客様の空調機定期メンテナンス中、以下の症状を確認しました。
・4台中1台の空調機の吹き出し温度が高い
設置されているのは日立製のビル用マルチエアコンで、室内機4台に対して室外機が1台のものです。
4台とも一つの部屋に設置されているので運転状況は同じはずですが、1台だけ吹き出し温度が吸い込み温度と同じ、つまり送風運転のような動きをしていました。
この症状から、膨張弁のつまり・動作不良・基盤の不良等が考えられるため、膨張弁の交換および基盤の交換を実施いたしました。
なぜ膨張弁のつまりや基盤の不良がおきると送風状態と同じ状態になってしまうのか?
それはなぜかと言うと、膨張弁のつまりや基盤の不良が起きると、エアコンの心臓部である「冷媒(フロンガス)の循環」が完全に停止してしまうため、扇風機と同じような送風状態になってしまうのです。
<冷房運転の仕組み>

1.膨張弁がつまる・動かないとどうなる?
空調機が部屋を冷やしたり暖めたりできるのは、パイプの中を流れる「冷媒」が液体から気体(又はその逆)に変化する際に熱を奪ったり放出したりするからです。
膨張弁の役割はいわば「霧吹き」のノズルです。
室外機から送られてきた高圧の液体冷媒を、この膨張弁で一気に狭い隙間から噴射させることでシャワーのような冷たい霧(低圧の液体)に変え、室内機へと送り出します。
・膨張弁が詰まった場合:
ノズルが完全に目詰まりした状態です。
冷媒が室内機にまったく流れなくなるため、室内機の熱交換器(アルミのフィン)が冷たくも温かくもなりません。
・動作不良(固着など)の場合:
膨張弁の弁が「閉じたまま」固まってしまうと、同様に冷媒が遮断されます。

【結果】
室内機には冷媒が一切来ないので、室内機のファンだけが虚しく回り続け、「吸い込んだ部屋の空気と同じ温度の風が出る(=送風状態)」になります。
2.基盤(制御基板)が不良だとどうなる?
ビル用マルチエアコンの膨張弁は、温度センサーなどの情報をもとに室外機や室内機の「基盤」が電気信号を送って、弁の開き具合をミリ単位で細かくコントロールしています(電子膨張弁)
・基盤が不良の場合:
基盤から膨張弁へ「弁を開け!」という電気信号(パルス信号)が正しく送られなくなります。
電気信号が来ない膨張弁は閉じたまま(あるいは異常な位置で固定)になってしまいます。
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【結果】
膨張弁そのものが物理的に壊れていなくても、司令塔である基盤に異常が起きているせいで弁が開かず、やはり冷媒が流れなくなって送風状態になります。
施工内容
・定期メンテナンスからの修理対応
膨張弁と制御基板の交換を実施しました。
修理の際には冷媒を全量回収、室内機(天カセ4方向)を天井面より外して作業を行いました。
また、メンテナンス時に現場の状況やブレーカーの位置を把握していたため、部品交換作業ならびに試運転確認のどちらもスムーズに完了することができました。
施工前・施工後のデータ
<点検時>
吸い込み温度 27.0
吹き出し温度 27.7
<修理後>
吸い込み温度 27.0
吹き出し温度 15.0
施工風景写真
<室内機 膨張弁・基盤交換前>

<室内機 取り外し後>


<膨張弁・基盤交換中>


施工後のお客様の声
お客様からは「メンテナンスで発見していただけたおかげで、大きな故障になる前に対応してもらうことができました。ありがとうございました。」とのお言葉をいただきました。
今回は定期メンテナンス(運転データ測定、室外機・フィルターの清掃、Vベルトの交換及び調整)を行っていたため、早期発見・早期対応することができました。
突発的な不具合による機器の停止は、生産ラインに直結する、どの製造業者さまにとっても絶対に避けたいトラブルです。
当社にお任せいただければ、以下のステップをすべてワンストップでサポートが可能です。
・メンテナンス(予防保全):故障の種を事前に見つける
・修理対応:万が一の際、どのメーカーであっても迅速に対応可能
・改善提案:設備の長寿命化や省エネをご提案
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