製造業のお客様より、以下のご依頼がありました。

・建屋内でトリクロロエチレン(トリクレン)を使用した洗浄業務を行っている。
・作業室内には有圧換気扇を設置しており、作業時は屋外に通じる扉を開放して換気を行っていた。
・より確実な対策として局所排気装置の設置を検討したい。

お客様が使用されているトリクロロエチレンは特定化学物質第2類物質に分類されており、法令上、局所排気装置の設置が必要となります。



課題と設計方針

洗浄槽での作業は洗浄作業に加えて槽の入れ替え作業も発生するため、作業性を確保しつつ、確実に有機溶剤を捕集できるフード設計が求められました。
また、洗浄後の製品にはトリクロロエチレンが付着しているため、製品を乾燥・保管する棚についても局所排気装置としての性能確保が必要でした。

●洗浄槽まわりの設計について

現地調査の結果、洗浄槽のサイズが大きいため、外付け式フ―ドでは必要風量が大きくなると判断しました。
そこで囲い式フードによる設計をご提案しました。
ポイントは以下の3点です。
①作業性を考慮し、正面に観音開きの扉を設置
②洗浄作業および洗浄槽の入れ替え作業の両方に対応できる構造
③開口面積を最適化し、必要な制御風速を確保

洗浄槽は洗浄作業と槽自体の入れ替えがあるため、作業のやりやすいサイズの開口面積の確保と、槽の入れ替えに対応できる機構が必要と考えました。
そこで正面に観音開きの扉を設け、洗浄槽の入れ替えが行えるようにしました。

●製品乾燥棚の設計について

洗浄後の製品に付着したトリクロロエチレンを確実に捕集するため、棚としての使いやすさと、局所排気装置としての性能を両立させた設計を行いました。
ポイントは以下の3点です。
①各棚ごとに制御風速を確保できる構造
②トリクロロエチレンが棚に溜まらないよう、棚板に傾斜を設置
③各棚の同一位置に排出口を設け、棚下に設置したドレンパンへ確実に回収できる機構

<乾燥棚イメージ図>


●材質の選定について

トリクロロエチレンは腐食性を有するため、メーカーの耐蝕・耐薬品表を参考に囲い式フードの材質にはSUS304(ステンレス)を採用しました。

施工内容

・局所排気装置の設計・設置

【洗浄槽】


【乾燥棚】


施工後のデータ

【洗浄槽】





制御風速結果
①0.79 ②0.76 ③0.82 ④0.86
⑤0.53 ⑥0.53 ⑦0.65 ⑧0.62
⑨0.78 ⑩0.66 ⑪0.62 ⑫0.73



【製品乾燥棚】





制御風速結果
①0.66 ②0.57
③1.18 ④1.14
⑤0.69 ⑥1.00
⑦0.53 ⑧0.91
⑨0.70 ⑩0.84

施工前後のイメージ図



<側面図>


施工時に気を使った点、工夫した点

●洗浄槽について

槽の下部にドレンパンが設置されているため、ドレンパンまでを囲い式フードに納める必要がありました。
また作業室のサイズが限られており、なるべく省スペースで設備を納める必要があったため、風量調整ダンパーを屋外に設置し、作業スペースを最大限確保できるよう配慮しました。

●製品乾燥棚について

既設の乾燥棚を改造した場合、奥行が大きくなり作業場内に収まらない可能性があったため、新たに局所排気装置の能力を有した乾燥棚を設計・製作する形でご提案しました。

施工後のお客様の声

お客様からは、『これまではたまに有機溶剤の臭いがこもることがありましたが、設置後は臭いがこもることもなくなり作業環境が大きく改善しました。快適な作業場になり本当に感謝しています。』とのお言葉をいただきました。