化学製品を製造されているお客様より、新たに製造設備を増設するにあたって以下のご相談をいただきました。
・有機溶剤(イソプロピルアルコール、キシレン、酢酸イソブチル)を含む化学製品の調合、小分けを行っている建屋で、設備を増設するにあたり各作業場に局所排気装置を設置したい。
・既設の製造設備には局所排気装置が設置されており、新規の設備にも同じように局所排気装置を設置したい。
・建屋内はフォークリフトを使用しての移動やロボットアームを使用している作業場もあり、ダクトを通すルートはそれらに干渉しないように設置してほしい。
・新設の設備でも有機溶剤を使用する作業があるため、法令に則った局所排気装置を設置したい。
・レイアウト変更や充填容器の種類変更があるため、それらに柔軟に対応できるような施工をお願いしたい。
そこで、現地確認とヒアリングをもとに、お客様のご要望に応えるべく用途や設備の条件に応じた3種類のフードを設計・製作し、施工を行いました。
施工内容
①スロット式フード(多種多様な充填容器への対応)
充填機械から容器へ充填する工程で、作業の邪魔にならないようにスロット式フードを採用しました。
スロット式フードとは外付け式フードの一種です。外付け式の局所排気装置はスロット型、ルーバー型、グリッド型などの種類があります。
今回は充填機械と容器の間が20mmほどしかなく、最小の幅でなるべく発生源の近くへ配置できるようにスロット式で設計を行いました。
また、フードの架台は昇降フレームを用いて上下に可動する仕様で設計・製作し、各種充填容器のサイズに柔軟に対応できるよう左右・上下に位置調整が可能な構造としました。
②囲い式フード(レイアウト変更への対応)
溶剤注入工程での充填設備をシートブースで囲い、充填容器の通過するコンベア部分のみを開口とすることで囲い式フードとなるように設計しました。
またレイアウト変更に対応できるようシートブースのフレーム設置位置を入念に確認し、現場で加工・調整を行い充填設備に適した形で組み込みました。
③移動式タンク投入口用フード(移動式タンク・投入口への対応)
作業時には吸込み口を発散源に近づけ、移動時には干渉をしない高さへ可変できるようにするため吸込み口にバランサーを設置しました。
局所排気装置は中空で固定できる構造にし、必要に応じて手元で高さ調整ができるようにしました。
また、有機溶剤を投入する作業があるため投入口付近へのダクト設置は避け、タンク背面上部にダクトを接続する設計としコンタミネーション(異物混入)防止になるようにしました。
施工時に気を使った点、工夫した点
いずれも製品の原料や完成品を充填する作業のため、コンタミネーション(異物混入)対策を怠らないように努めました。
また、フォークリフトでの作業に干渉しないようダクトを通すルートを検討し、作業に干渉することのないよう多種多様な充填容器に対応できる設計を心がけました。
機器の可動域や作業スペースも念入りに確認し、安全性とメンテナンス性の両立を考慮しながら施工を行いました。
施工後のお客様の声
お客様からは『局所排気装置としての能力を有しつつ、各種作業に対応できる形になっていて使いやすいです。作業に干渉することなく局所排気装置を使えるのでとても助かっています。ありがとうございます。』とのお言葉を頂きました。