水素ガスを扱うお客様から、以下のご相談がありました。
・水素試験装置を設置するコンテナ内の温度上昇を防ぎたい。。
・コンテナ内の試験室にはガス漏れ検知器などの保安機器を設置する予定だが、結露防止のためにコンテナの扉を閉めた状態で外気温以上にならないようにしたい。
・制御盤等の電気室を冷却したい。

課題解決のご提案

今回のご相談に対して、田崎設備ではコンテナの上に空調機の室内機と室外機、送風機などを設置し、温度を調整した空気をダクトでコンテナ内に送り込む施工方法をご提案しました。

室外機等の機器をコンテナの上に設置した理由は2つあります。
①コンテナの周囲に他の機械が設置されており、スペースを確保できなかったため
②コンテナの中に納められている精密機器をショーケースのように展示するためコンテナの長辺側が観音開きになるように改造されており、付近に室外機等を置いてしまうと扉の開閉の妨げになってしまうため



機器をコンテナ上に設置する際、荷重で天井部がたわんでしまうのを防ぐためにダクターという金具を配置し、その上に機器を乗せることで重量が分散されるようにしました。
さらに万が一に備えてコンテナの辺になっている太い鉄骨部分の上に設置し、たわみの可能性が減るように施工しました。


※ダクターとは
正式名称はダクターチャンネルといい、必要な長さに加工し電線管やケーブルラック、分電盤などを支持(支える)ために使用される材料(金具)の事を指します。
コの字型のダクト状の形状をしており、ローレットという折り返し部分に様々な金物を引っ掛けたり固定して使用します。



コンテナ上に設置した機器には室内機も含まれているため、雨除けのカバーを製作して取り付けました。


また、前述したようにお客様との打ち合わせの中で「扉を閉めた状態で室内温度が外気温以上にならないようにしたい」とご要望があったため、コンテナ内を大きく3つに区切りその1つに制御盤関係を配置しました。
排熱でコンテナ内の温度が上がってしまわないようにコンテナ上に配置した空調機から空調した空気をダクトで送りコンテナ内の温度が一定になるように設計しました。
残りの2つには換気設備のみ設置し、万が一水素ガスが漏れ出してしまってもコンテナ内の濃度が上がりすぎないようにしました。



さらにコンテナ内にも工夫を施しました。
お客様のご要望は「扉を閉じた状態で外気温を超えないように」との事でしたので、扉・壁・天井にパネルを貼り付け、通常時でもコンテナ内の温度がなるべく上がり過ぎないようにしました。

施工内容

・空調設備工事

施工風景写真

<施工足場設置状況>


<コンテナ内部 ダクト貫通部開口状況>






<冷媒配管施工状況>


<コンテナ内 排気口設置後>


施工時に気を使った点、工夫した点

今回の施工では水素ガスを扱うということもあって通常の防爆仕様では対応が難しい状況でした。
もし水素ガスが漏れてしまった場合、空気と混ざり合って特定の濃度になると引火する危険性があります。
そこで濃度が上がりすぎてしまわないように排気風量や回数を考慮した設計を行いました。

また、結露が起きないよう常温での空調を希望されたため、前述したように制御盤エリアの空調機以外は換気設備のみ取り付けました。

施工後のお客様の声

お客様からは『相談した内容に柔軟にご対応いただきありがとうございました。また丁寧に施工していただいたことも感謝しています。』とのお言葉をいただきました。